2010年02月25日

惑星の大気を“食べる”恒星

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2月25日(木) 16時48分
ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト

 太陽系外で確認されている最も高温な惑星の1つが徐々に主星に“食べられている”という最新の研究が発表された。

 2008年に発見された太陽系外惑星WASP-12bは木星と似た性質を持つ。主星から非常に近い距離を公転しているため、公転周期はわずか26時間である。主星との距離が近いため、主星からの熱と、引き合う重力の影響で生じる潮汐加熱が重なり、WASP-12bの表面温度は摂氏2600度を超える。

 最新のデータによると、WASP-12bの大気は主星からの熱で膨張し、一部は宇宙空間に飛び出しているという。

 しかし、北京大学の天文学者でこの研究を率いたリ・シューリン氏によると、飛び出した気体は恒星風に吹き飛ばされることなく、むしろ主星に引き寄せられてその周囲に高温の輪を形成している可能性があるという。実際にWASP-12bの質量は急速に失われており、年老いた主星に飲み込まれるより先に消滅する可能性が高い。

 カリフォルニア大学バークレー校の天文学者で太陽系外惑星を研究するヘザー・クヌートソン氏によると、太陽に似た主星WASP-12は誕生してから20億年ほどたっており、まもなく寿命を終えるという。太陽に似た恒星は死期に近づくと赤色巨星となるのが普通で、気体でできた外層が膨張して近くの惑星を飲み込むと同氏は説明する。WASP-12は1億年以内に赤色巨星になると予測されている。同氏は今回の研究に参加していない。

 それに対し、この研究の共著者であるカリフォルニア大学サンタクルーズ校のダグラス・リン氏は、「WASP-12がWASP-12bを“食べる”ことはないだろう。それよりずっと早く、おそらく1000万年以内にはWASP-12bは完全に崩壊しているだろう」と推測する。

 木星より質量が大きく恒星に近い軌道を周回する太陽系外惑星“ホット・ジュピター”は、1995年以降に90個以上発見されている。このような巨大ガス惑星はまず惑星系の外側の離れた領域に形成され、まだ解明されていない何らかの理由によって内側へ移動すると考えられている。

 これまでに確認されているホット・ジュピターの中でも、WASP-12bは主星から極めて近くに位置するという点で際立っている。しかも、誕生から20億年近く経過したにもかかわらず円軌道に落ち着かず、軌道は異常に長い楕円を描いている。

 WASP-12bの軌道がこのように特異であるために、恒星からの引力の影響が時間とともに変化し、その結果生じる摩擦によって熱が発生する。

 研究の共著者で同じくカリフォルニア大学サンタクルーズ校の天文学者であるジョナサン・フォートニー氏は、その熱が惑星に劇的な影響を与える可能性があると指摘する。例えば木星の衛星イオは、潮汐運動によって生じる大きな熱のために地中深くにある岩石が溶解し、火山活動が生じている。「ホット・ジュピターの場合、そのエネルギーによって惑星自体が膨張するため、さらに巨大になっていく」。実際、WASP-12bの質量は木星の1.4倍程度しかないが、体積は木星の6倍にまで膨張している。

 リ・シューリン氏の研究チームは、気体の一部が惑星から遠く離れたところにまで押し出されているために、その気体が主星の引力に引き込まれ、主星の周囲に輪を形成しているとの説を提唱する。

 フォートニー氏は、「その証拠は見つかっていないが、観測を続ければ円盤状のリングは見つかるはずだ」と期待する。研究チームの計算では、この輪は最高で摂氏4000度と極端に高温になるため、赤外線放射が検出できるはずだという。

 カリフォルニア大学バークレー校のクヌートソン氏によれば、WASP-12bは、これほど恒星の近くに位置しながら、長生きではなくても生きながらえている惑星を研究する貴重な機会だという。「この惑星は極めて厳しい環境に置かれている。同じくらい恒星の近くにあり、私たちの知らないうちに消滅してしまった惑星もあったことは想像に難くない」。

 さらに、WASP-12bが特異な軌道を持つということは、この巨大ガス惑星が主星から非常に近い軌道を周回しているにもかかわらず、そのすぐ近くにこの惑星よりも小さな天体が存在する可能性があるということでもある。

 主星からこれほど近い距離にある惑星は、もっと真円に近い軌道を周回していることがほとんどだと研究チームは指摘する。しかし、近くを周回する別の天体があれば、その重力が惑星に影響を与え、軌道が変形する可能性がある。

 WASP-12bの軌道が楕円であることから、「この惑星系には他の惑星の軌道に影響を与える観測可能な大きさのスーパーアース(巨大地球型惑星)もあり、これが攪乱要因となってWASP-12bの軌道を変形させ続けているのでは」との仮説を研究チームは立てている。

 この研究は2010年2月25日発行の「Nature」誌に掲載されている。
ラベル:恒星 惑星
posted by 宝島S at 21:55| ☁| Comment(0) | 他ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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